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カニよ永久に…の巻←題名変わってるよ わが家でカニを飼いはじめてから半年がたった。20匹くらいいたカニのうち、生き残った4匹に名前をつけた。 ボス、中島、鶴田、近藤 である。しかし、ちょっと前にボスと中島も不慮の水難事故で亡くしてしまった。 たまにゴソゴソと動くだけだから、普段から生きているのか死んでいるのか分からないし、人に慣れることもないのだが、それでも生き残った奴等はかわいかった。 しかし、生きている限り、天命には逆らえはしない。ある日とうとう片方のツメがでかい鶴田も大量の泡を吐いて死んでしまった。まあ、カニであるから泡をはくのは当然のことかもしれないが、彼の場合はどうやら病気だったらしい。そしてその後を追うように、数々の脱走に失敗した近藤も死んだ。 その日は皮肉にも私の誕生日の朝であった。その日私は不思議な夢を見たのである。 「あきばさーん、宅急便でーす。ちょっと大きいんですが、どこに置きますかあ」 「あー、そのへんに置いといてください」 まだ眠りから完全に覚めていない私はドア越しに配達員に言った。 友人が7枚組のCDを出すというので(そんなことはありえないけど)そのジャケット撮影に使ったものをくれるというのだ。しかしそれらは、東京タワーの置物だったり、妙な形の人形だったりと、およそもらっても仕方のないものばかりであった。 そこでその中でも唯一まともだった?カニをもらうことにしたのである。今日はそのカニの配達指定日であった。 どすん! その音とともに私ははっきりと目が覚めた。アパート全体が何かとても重いもので包まれたような重圧感があった。 「何だろう?」私はパジャマ姿のままアパートの外に出てみた。 するとそこには青い空の下、10メートルはあろうかと思われるカニが2匹、私のアパートにまさに立て掛けてあったのである。 ふつう、カニといったら、発砲スチロールに入った、ちょっと緑の枝なんか入っている、両手で持てるくらいの、あの、あのサイズだと思うではないか! 2匹の巨大なカニは生きているのか死んでいるのか、じーっと正面を向いたまま、八の字形になってアパートにくっついている。 一見、末広がりでめでたい、いい感じではあるが、いっこうに動く気配がないので、このままではアパートの住人が外に出られない。そして、いつ何時その沈黙が破られ、カニたちが何をしでかすか分からないのも不安であった。 さて、どうやって解体しよう…。困りはてた私は何故か実家の父に電話をした。 すると「たまみ、テレビで『あなたのお悩み解決します』っていうのやっているぞ」と言うではないか。 その番組はタイトルのとおり、一般視聴者から募った悩みを番組が解決するという内容のものであった。私はいそいでその番組の制作会社を調べ、電話をした。 「あのー、うちの屋根にくっついているカニをとってほしいんですけど…」 さっそくその番組が取材に来た。ものすごく大きなクレーン車2台がうちのアパートの前に止まり、約2時間かけてカニは解体された。近所から集まった野次馬は500人を越え、その人たちで分けあって食べたカニ鍋はたいへん好評だった。 数日後、うちに番組から一通の手紙が届いた。そこにはこう書かれていた 「前略 あきば様 先日は取材依頼誠にありがとうございました。おかげさまであの回は視聴率が30パーセントを越えることができました。そこで私たちの気持ちといっとは何ですが、あきば様にウィーン旅行をプレゼントしたいと思います。」 数日後、私はウィーンの空港にいた。何故ウィーンなのかはわからない。しかし私はウィーンにいた。そして私は税関で止められていた。 「スーツケースを開けなさい」 「はあ?」 「だから、スーツケースを開けなさいといってるんだ」 私はしぶしぶ自分のスーツケースを開けた。 「これは何だね?」 「…(‐_‐;)」 私にもわからなかった。なぜ私のスーツケースにカニ刺やカニ弁当がぎっしりと詰まっているのかなんて…。 「これは何だね?」 恐い顔で税関の係員がもう一度言った。 「いや…あの…、カニ。」 私は見たままを答えるしかなかった。 断っておくが、これは私の夢である。友人に話したら、それはきっと、ボス、中島が近藤を迎えにきたのであり、近藤はじめ、私に飼われていたサワガニたち推定20匹が私にお礼をしたくてこんな夢を見させたのではないかと言う。 まあ、所詮カニの頭であるから仕方のないことかもしれないが、それなら私はもうちっとましな夢を見たかった…。 彼らは果たして幸せだったのだろうか?きっと彼らはかなりの不満があったに違いない。しかしそれは天国にいってから、カラアゲになって昇天したカニ仲間に「君って超ラッキーじゃん」とか言われてはじめて気づくことなのかもしれない。とにもかくにもかわいいサワガニたち、冥福をお祈りします。 チーン。 4/11 |